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(地法附則32の 2 ②)

1   猶予制度の見直し

 平成27年度税制改正においては、地方税法総則 に定める猶予制度について、納税者の負担の軽減 を図るとともに、早期かつ的確な納税の履行を確 保する観点から、平成26年度税制改正における国 税の見直しと同様、新たに納税者の申請に基づく 換価の猶予制度を設けるとともに、徴収猶予及び 換価の猶予(職権)について所要の見直しを行う こととされました。また、その際、地方分権を推 進する観点や、地方税に関する地域の実情が様々 であることを踏まえ、換価の猶予(申請)に係る 申請期限など一定の事項については、各地域の実 情等に応じて条例で定める仕組みとされたところ です。

⑴ 徴収猶予の見直し

① 猶予金額の納付方法の見直し

 改正前の制度においては、納税者等が災害、

疾病その他の事実により一時に納税をするこ とができない場合等において、その者からの 申請に基づき、一定期間の徴収猶予をする場 合には、「その猶予に係る金額を適宜分割し て納付し、又は納入すべき期限を定めること

を妨げない」こととされていました。この点 につき、平成26年度税制改正における国税の 改正と同様に、的確な納付の履行を確保しつ つ、猶予を使いやすくするとの観点を踏まえ た上で、さらには各地域の実情等に応じた対 応が可能となるよう、以下のとおり見直され ました。

イ 地方団体の長は、徴収猶予をする場合に は、当該猶予に係る地方税の納付について は、当該地方団体の条例で定めるところに より、その猶予をする金額を、その猶予期 間内において、その者の財産の状況その他 の事情からみて合理的かつ妥当なものに分 割して納付させることができることとされ ました(地法15③)。また、徴収猶予の期 間を延長する場合も同様とされました(地 法15⑤)。

ロ 徴収猶予をし、又はその猶予の期間を延 長したときには、その旨のほか、猶予をす る金額、猶予をする期間その他必要な事項 を納税者に通知しなければならないことと されました(地法15の 2 の 2 ①)。

② 猶予の申請書の記載事項・添付書類の整備  改正前の制度においては、猶予をするに当

たって必要となる書類の提出については、法 令上の定めはありませんでしたが、平成26年 度税制改正における国税の改正と同様に、猶 予該当事実や納税者の納付能力等を的確に判 断し、猶予手続を円滑に進める等の観点を踏 まえた上で、さらには各地域の実情等に応じ た対応が可能となるよう、その猶予の種類等 に応じ、次のとおり見直すこととされました。

併せて、同様の観点から、申請書の記載事項 についても、所要の整備が行われました。

イ 災害等に基づく猶予の場合(地法15①)

 本猶予の申請をしようとする者は、地方 税法第15条第 1 項各号のいずれかに該当す る事実があること及びその該当する事実に 基づき当該徴収猶予に係る地方税を一時に 納付することができない事情の詳細、当該 徴収猶予を受けようとする金額及びその期 間その他の当該地方団体の条例で定める事 項を記載した申請書に、当該該当する事実 を証するに足りる書類、財産目録、担保の 提供に関する書類その他の当該地方団体の 条例で定める書類を添付し、これを当該地 方団体の長に提出しなければならないこと とされました(地法15の 2 ①)。

ロ 賦課の遅延等に基づく猶予の場合(地法 15②)

 本猶予の申請をしようとする者は、当該 徴収猶予に係る地方税を一時に納付するこ とができない事情の詳細、当該徴収猶予を 受けようとする金額及びその期間その他の 当該地方団体の条例で定める事項を記載し た申請書に、財産目録、担保の提供に関す る書類その他の当該地方団体の条例で定め る書類を添付し、これを当該地方団体の長 に提出しなければならないこととされまし た(地法15の 2 ②)。

ハ 猶予の期間の延長の場合(地法15⑤)

 猶予の期間の延長を申請しようとする者 は、猶予期間内に当該猶予を受けた金額を 納付することができないやむを得ない理由、

猶予期間の延長を受けようとする期間その 他の当該地方団体の条例で定める事項を記 載した申請書に、財産目録、担保の提供に 関する書類その他の当該地方団体の条例で 定める書類を添付し、これを当該地方団体 の長に提出しなければならないこととされ ました(地法15の 2 ③)。

 なお、上記イ又はハの添付すべき書類(地 方団体の条例で定める書類を除きます。)に ついては、災害等に基づく猶予(災害・病気 等によるものに限ります。)又は当該猶予の 期間の延長をする場合において、当該申請者 が当該添付すべき書類を提出することが困難 であると地方団体の長が認めるときは、納税 者の負担軽減を図る等の観点から、添付する ことを要しないこととされています(地法15 の 2 ④)。

③ 申請に係る訂正手続の整備

 上記②の規定整備に併せて、平成26年度税 制改正における国税の改正と同様に、徴収猶 予の申請手続をより円滑に進める等の観点か ら、申請書の記載事項等について訂正等を求 めることができることとされました(地法15 の 2 ⑥⑦⑧)。その際、申請書及び添付書類 の訂正期限については、各地域の実情等に応 じた対応が可能となるよう、条例で定めるこ ととされています。

④ 猶予の不許可事由の整備

 平成26年度税制改正における国税の改正内 容を踏まえた上で、各地域の実情等に応じた 対応が可能となるよう、地方団体の長は、上 記②イからハの申請書の提出があった場合に おいて、当該申請者について地方税法第15条 第 1 項、第 2 項又は第 4 項(徴収猶予の要件 等)の規定に該当すると認められるときであ っても、次のいずれかに該当するときは、当 該徴収猶予又はその猶予期間の延長を認めな いことができることとされました(地法15の

2 ⑨)。

イ 地方税法第13条の 2 第 1 項各号(繰上請

求)のいずれかに該当する事実がある場合 において、その者が当該猶予に係る地方税 を猶予期間内に完納することができないと 認められるとき

ロ 当該申請者が、申請に関する調査に係る 質問検査権(下記⑤参照)につき、その質 問に対して答弁せず、又は検査を拒み、妨 げ、若しくは忌避したとき

ハ 不当な目的で徴収猶予又はその猶予の期 間の延長の申請がされたときその他その申 請が誠実にされたものでないとき

ニ 上記イからハに掲げるもののほか、これ らに類する場合として当該地方団体の条例 で定める場合に該当するとき

⑤ 猶予の申請事項についての調査に係る質問 検査権の規定の整備

 今回、地方団体の長は、上記②イからハの 申請書の提出があった場合には、当該申請に 係る事項について調査を行い、徴収猶予若し くはその猶予の期間の延長をし、又はその徴 収猶予若しくはその猶予の延長を認めないも のとされました(地法15の 2 ⑤)。

 これを受け、地方団体の長は、その調査を するため必要があると認めるときは、その必 要な限度で、その徴税吏員に、申請者に質問 させ、又はその者の帳簿書類その他の物件を 検査させることができることとされました

(地法15の 2 ⑩⑪⑫)。

(注) なお、換価の猶予については、これまで どおり、地方税法第68条第 6 項等に基づき、

現行の国税徴収法の質問検査権(国税徴収 法第141条)の例によって対応することとな ります。

⑥ 猶予の取消事由の追加

 これまで、徴収猶予を受けた者が、当該猶 予に係る地方税を期限までに納付しない等の 場合には、地方団体の長は、その猶予を取り 消し、その猶予に係る地方税を一時に徴収す ることができることとされていました。

 この猶予の取消事由について、平成26年度

税制改正における国税の改正内容を踏まえた 上で、さらには各地域の実情等に応じた対応 が可能となるよう、次の場合がその対象に加 えられました。

イ 分割納付を認めた地方税をその納付期限 までに納付しないとき(地方団体の長がや むを得ない理由があると認めるときを除き ます。)(地法15の 3 ①二)。

ロ 新たに猶予に係る地方税以外の当該地方 団体に係る地方税を滞納したとき(新たに 当該地方団体の条例で定める当該地方団体 の債権に係る債務の不履行が生じたときを 含み、地方団体の長がやむを得ない理由が あると認めるときを除きます。)(地法15の

3 ①四)。

ハ 偽りその他不正な手段により猶予又は猶 予の期間の延長の申請がされ、その申請に 基づき猶予又は猶予の期間の延長をしたこ とが判明したとき(地法15の 3 ①五)。

ニ その他、これらに類する場合として当該 地方団体の条例で定める場合に該当すると き(地法15の 3 ①七)。

⑦ 担保の徴取基準の見直し

 改正前の制度においては、地方団体の長は、

地方税法第15条(徴収猶予)又は第15条の 5

(職権による換価の猶予)の規定により徴収 猶予をし、又は差押財産の換価を猶予する場 合には、その猶予に係る金額に相当する担保 を徴さなければならないこととしつつ、その 猶予に係る税額が50万円以下である場合又は 担保を徴することができない特別の事情があ る場合は、この限りでないこととされていま した。

 この点について、猶予制度を使いやすくす る観点から、平成26年度税制改正における国 税の改正においては、要担保徴取額の最低限 度額を100万円(改正前:50万円)に引き上 げるとともに、その猶予期間が 3 月以内の場 合には担保が不要とされました。

 一方、地方税において、国税の改正内容を

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